ブリスベンの洪水-2

ブリスベンで先週発生した、大洪水の話の続きです。

一昨日のブログに家の近所の写真を載せたことで「あんな近所まで水が迫っていたなんて、やっぱり全然『大丈夫』なんかじゃなかったんじゃないかっ!」とお叱りのメールをいただいたので、最初にちょっと言い訳です。

洪水発生前と洪水中に「私は大丈夫です」とブログに書きましたが、あれはブログを見ている日本の親戚や知人を安心させるためのウソとか方便などではないんです!
我が家のあるストリートは高台にあって、その中でも我が家はベスト3に入るくらい高い位置に建っているので、市や州から発令された警告が正しければ、洪水が予報どおりのピークに達しても大丈夫という自信がありました。

そして実は、今住んでいる家は、1974年にブリスベンで発生した大洪水の被害記録をチェックして、洪水の被害に遭っていないかを確認した上で購入していたんです。
なので、同じ規模程度の洪水であれば、被害には遭わないという確信がありました。
今回の洪水は「1974年の洪水よりも大規模になる」という予報が出ていました(※幸いなことに、結果的にこの予報ははずれました)が、その水かさを考慮しても、我が家は浸水の心配はなさそうでした。

この洪水記録はブリスベン市が管理しているもので、1974年の洪水時にその家が浸水したかどうかのチェックが行えるんです。
そのときは、不動産屋には、

「家が洪水に遭ったかどうかを気にするヒトなんていないよ~」

とずいぶん笑われました(そしてその後、不動産屋が言ったとおり気にしている人は実際ほとんどいないことにビックリしたりもしました)が、そのとき購入の候補に挙がっていながら洪水が心配で買わなかった家は、今回ことごとく浸水の被害に遭っていました。
私たちとしても1974年のような大きな洪水がブリスベンに再び発生するような事態を本気で考えていたわけではなかったのですが、確かめておいて本当によかったです。

ただ、川沿いの地域なので、万が一ブリスベン上流のダムが決壊して急激に水位が上がった場合は、我が家も被害は避けられなかったかもしれません。
そういう事態が起こらないようにするためのダムの緊急放水でしたが、「ダム決壊は100パーセント起こらないから大丈夫」という保証はどこにもありませんでした。
そういう意味で、避難するべきかどうかとても迷ったし、避難しないならしないで洪水のピーク時前後にノンキに眠るべきではなかったのでした。

が、家を購入して10年以上も経った今になっていまさら気づきましたが、一言に「ブリスベン」と言っても今回の洪水とは全く無縁だった地域も多く、どうせ調べるなら個々の家ではなくなぜあの時「洪水に遭わなかった地域」を確認しなかったんだ!と自分に呆れました・・・

ブログでも何度か話題にしたことがありますが、私の住む地域はオーストラリア先住民アボリジニ語で【起伏の多い土地】という名前がついているくらい起伏が激しく、同じストリートでも高いところと低いところがあったりするので、避難警告が出ていたストリートであっても、低い位置に建っている家が二階まですっぽり浸水しているのに高い位置に建っている家は全くなんともないという現象が発生していました。

私たちの住む地域だけでなくブリスベンの町は基本的に起伏が多く複雑で、今回の大洪水でも、川の真横にあるのに全く被害に遭わなかった地域もある反面、川辺からずいぶんと離れた場所なのに浸水した地帯があったりもしました。

水がようやく引いたとき、近所のスーパーには生鮮食品がまるでないというので隣人が少し遠くのショッピングセンターに連れて行ってくれたのですが、その道のりでは、「なんでこんな場所が?!」と驚くような場所で浸水の被害に遭っている家々も見かけたものの、ちょっと離れた場所ではいつもと全く変わらぬ日常生活が続いていることを知り、何だか異次元から飛び出してきたような、変なキモチでした。

長い言い訳になりました。

今日の我が家の周りの地域ですが、浸水の被害に遭った家屋から出された粗大ゴミの山もすっかり片付き、道路に溜まった泥の掃除も終了し、バスもようやく普通どおりに運行するようになって、見た目だけはだいぶ普段と同じ状態に戻りました。
ショッピングセンターの生鮮食品も、今現在は、値段が急激に上がるということもなく、品数もかなり普通に戻っています。

でも、浸水した家は、危険なので詳しくチェックを受けて大丈夫と判断されるまでは電気も通らないとのことで、まだ普通の生活に戻れていない方々も多くおられます
町がすっかりもとの状態に戻るには、まだまだ時間がかかりそうです。

ところで、オーストラリア・クイーンズランド州で発生した洪水のニュースとして「濁流に飲み込まれていく家や車」の映像や写真が日本でも何度も放送されたそうですが、あれはブリスベンではなく、ブリスベンの上流にある町、トゥーンバ(Toowoomba:日本ではタウンバと報道されているそうですが)で発生した内陸津波(鉄砲水)のものです。
ブリスベンの今回の洪水はあれとは違い、海の満ち潮とともに本当に静かに、ゆっくりと水位が上昇していきました。
洪水の最中もお天気がよく、火曜日の大雨以降は数回ぱらぱらと小雨が降ったのみでずっと晴れていました。
なので、逃げ後れて救出された人はいましたが、「突然濁流が押し寄せてきて流された」という人は、ブリスベンにはいませんでした。
不幸中の幸いというか、その点では、命に関わるような被害が少なく済んで本当によかったと思います。

トゥーンバの内陸津波では未だに多くの行方不明者がおり、捜索活動も続いています。
ストームの季節はまだ終わっておらず、ブリスベンでも、この先も大雨の予報が出ています。
今度こそ予報が外れて、これ以上の被害が出ませんように・・・。

そうそう、この騒ぎですっかり影が薄くなってしまいましたが、息子は無事大学が決まりました!
この話も、もうちょっと落ち着いたらじっくり書きたいと思いますので、よろしくお付き合いのほど願いますm(__)m

洪水の話、まだ続きます。

ブリスベンの洪水-2” への26件のフィードバック

  1. 雅ハハ

    ご家族もおウチもご無事で何よりでした
    でも怖かったでしょう?ワタシならきっと泣いてますよ
    よく頑張りはりましたね。お疲れ様でした。
    日本では、川のワニが増水のせいで街に泳ぎ出てくるのが心配
    とか、なんかわけのわからない報道もあって。(心配しましたマジで)
    被害にあわれた方の生活が1日も早く元通りになりますように。
    息子さん大学決定おめでとうございます。何の勉強なさるのかなぁ?

    • KYO

      ▼雅ハハさん、ありがとうございます(T_T)

      洪水の最中は、ドキドキしましたが大雨のときほどは怖くありませんでした。
      やっぱり「真昼間の晴天」というお天気のせいでしょうか?
      これが、土砂降りの真夜中とかの出来事だったら、絶対パニックになっていたと思います・・・

      ワニはブリスベン近辺にはいないのですが、サメは実は普段から満潮に乗って我が家の近辺にも来ているんです。それが増水に拠って、町の真ん中で目撃されたそうで・・・
      オーストラリアって、ワイルドですね(怖)
      それからもうちょっと北の熱帯の地域では、洪水時はワニも本当に脅威なんですよ。
      洪水でなくても、雨でも出てきたりするそうです。

      息子は映像編集の勉強をするのが志望です!
      今まだちょっと学科でモメてまして、大学入学は決まったものの学科がどうなるかが微妙なところです〜。

  2. nora

    ご無事で何より。息子さん合格おめでとうございます。
    友人がTHE UNIVERSITY OF QUEENSLANDの教員してます。
    彼は友人宅に避難したそうです。2月から2ヶ月間こちらに来る予定。
    来れるんだろうか?

    • KYO

      ▼noraさん、

      クイーンズランド大学の近辺は浸水した家も多かったですから、ご友人も大変でしたね・・・
      大学そのものも、グランドが完全に沈んでしまって立ち入り禁止になったり、いろいろあったようです。
      せめてもの救いは、夏休み中だったことでしょうかね?

      「2月から2ヶ月」はお仕事で、でしょうか?
      2月までに、すっかり日常生活に戻っておられることをお祈りいたします。

  3. マキチャンズ

    家が過去に洪水にあったかどうか調べるなんて凄いですね。

    私も最近(といっても5年前)購入した時には基礎を高めにしましたが、その程度で、全く調べませんでした。
    もう新しい家を買う予定も無いので、この知識は何にも活かせないとは思いますが。。

    • KYO

      ▼マキチャンズさん、

      実は、こちらに引っ越してきて最初に通った英語の教室は一般の民家を改造したものだったんですけど、そこは1974年の大洪水で完全に浸水していたんです。
      先生がブリスベン生まれ育ちで、洪水に遭ったのが中学生の多感なころだったとのことでその恐怖を詳細に語ってくれたので、ものすごく印象に残っていて「洪水になっても浸水しない家を選ばねば!」とインプットされてしまいました・・・
      今私がこうやってノンキにPCに向かえるのも、そのときの先生のおかげです。
      先生ありがとうございます!!

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